◎低運賃で人気のLCC「格安航空会社」
LCCは英語で「Low Cost Carrier」と表記されるように、乗客に提供する運賃が安いと同時にコスト(経費)を低く抑えている航空会社である。
ちなみに、LCCには明確な定義はない。一般的には、コストを最大限に切り詰め、それによって従来の運賃より大幅に引き下げた価格で提供する航空会社をLCCと呼んでいる。
◎LCCでは、人件費も低く抑えている?
航空業界って待遇がいいイメージがありますがそれは大昔の話。
◎大手では年収3000万円以上を稼いでいたパイロット
大手エアラインのパイロットが年収3000万円以上を稼いでいたのは過去の話。
◎今では、全日空で1900万円、LCCなら1200万円
全日空でも1900万円、LCCなら1200万円そこそこがいまの相場だ(有価証券報告書記載の額)。
例えば、ピーチは年収700万円だと言われている。
◎パイロットは、大手とLCCでは2倍の格差…
JALやANAといった大手の年収がその2倍以上だから。ほとんどの日本人パイロットは大手の出身者だから、あまりの金額の違いに戸惑うのだろう。
◎LCCとはいえ、パイロットの待遇はもう下げることはできない…
ひとり育成するのに10年以上、2億円かかると言われるパイロットは手放せませんから待遇を下げられません。
◎整備士も社内育成してるので価値が高い
整備士も国家資格や機種別のライセンスを取るために社内育成してますから価値が高い。
◎LCC人件費カットのしわ寄せはCAに?
スタッフは契約社員で契約期間は3年。
◎CAの場合は、過去に年収1,000万円の時代もあった…
キャビンアテンダント(CA)の場合、10年勤めれば年収1,000万円を超えた古き良き時代。
◎今や日本航空や全日空で400万円台、LCCで250万円程度
しかし今の平均年収たるや、日本航空や全日空で400万円台、スターフライヤーやソラシドエアに至っては250万円程度という驚きの低さだ。
新卒で採用試験に合格しても、多くの航空会社が「契約社員」からのスタートとなっています。
◎LCCのCAは、機内清掃や地上係員の兼業も…
仕事量はキャリアフラッグ(※JALやANAなどLCCではない既存の航空会社)に比べるとずっと多い。仕事として割り切って考えるには少々キツいですね
徹底したコストカットで低運賃でのフライトを実現させるLCCでは、CAが機内清掃や地上係員をこなすなど複数の業務を行うのが当たり前。
◎それでも、LCCに入社するのはなぜ?
それでも、新規採用における倍率は20倍とも言われる超買い手市場。いくらでも変わりはいる環境である。
「LCCとはいえ航空会社。このキャリアを生かした転職は入社当時から考えています。そういう社員が主ですよ」
◎アメリカでは、多頻度運航によって人件費をねん出
LCCは運賃が安いため1便当たりの利益幅は薄いが、便数を増やせば利益を積み上げられる。つまり、多頻度運航によって人件費をねん出してきた面が大きいのだ。
アメリカ・サウスウエスト航空
LCCの"老舗"と言われるアメリカ・サウスウエスト航空は、人件費を削らない方針をとっていることで有名だ。従業員持株制度なども採用している。LCCとはいえ、サウスウエスト航空は今やアメリカ国内の旅客数(定期便)では大手をしのぐまでに成長し、人件費にかけるコストの割合も大手をしのぐほどである。
◎日本では、多頻度運航にもいろいろと問題がある…
日本はアメリカほど航空自由化が進んでおらず、運航の頻度も深夜・早朝便の需要も飛行機社会と言われるほどではない。また、パイロット不足により多頻度運航には限界が出てきた。
◎LCC会社はブラック企業なのか?
労使間の問題は法に触れない限り外からとやかく言えるものでもない。安い運賃を求める乗客がいて、それを提供するために高いとは言えない賃金で働くスタッフがいる。