◆ついに「五輪エンブレム」が使用中止に
アートディレクター、佐野研二郎氏(43)が制作した2020年東京五輪エンブレムの使用中止が決定
類似が指摘されていたベルギーのリエージュ劇場のロゴなどとは「似ていない」と改めて強調したが、「国民の支援がないエンブレムを使い続けることは困難」と判断された。
2020年東京五輪の公式エンブレムの盗用疑惑で、大会組織委は9月1日、デザイナーの佐野研二郎氏がデザインしたエンブレムの使用を中止することを正式決定。
出典:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150901-00003624-bengocom-soci
エンブレムを制作したデザイナーの佐野研二郎氏からの申し出を受けて、組織委が決定した。
事の発端となった東京オリンピックのロゴとベルギーの劇場のロゴ
最初に問題視されたのは、ヨーロッパのデザイン会社『Studio Debie』が創作したもので、2013年にベルギーの劇場『テアトル ド リエージュ』の新エンブレムとして作ったもの。佐野氏はエンブレムについて「模倣は一切ない」と主張していたが、他の作品の模倣を認めたサントリービールのキャンペーン賞品だけでなく、同氏が関わった作品で似ているものがあるとの指摘が相次ぎ、大会のイメージダウンが危ぶまれていた。
2020年東京五輪の公式エンブレムの使用中止を受け、佐野研二郎氏は1日夜、自身のホームページで「もうこれ以上は、人間として耐えられない限界状況」などとするコメントを発表した。
出典:【五輪エンブレム見直し】「人間として耐えられない」佐野研二郎氏がコメント 疑惑改めて否定(1/3ページ) - 産経ニュース
佐野氏は「原案も最終案も、模倣や盗作は断じてない」と改めて疑惑を否定
自身のメールアドレスに中傷のメールが送られ、家族や親族の写真もインターネットにさらされるなどのプライバシー侵害を受け、「これ以上今の状況を続けることは難しいと判断し、取り下げに関して私自身も決断致しました」と説明した。
◆佐野氏へのバッシングが続く風潮に対して、こんな意見も投稿されている。
東京五輪のエンブレムの使用中止が決まったが、僕がとても気になるのは、佐野氏へのバッシングが異常にエスカレートしていることだ。彼は、既に社会的制裁を受けている。彼に非があったとしても、無制限に人を叩くなと思う。水に落ちた犬を棒で叩くような風潮が僕は本当に嫌だ。(小池一夫)
「本当の悪魔は巨大に膨れ上がった時の民意だよ。自分を善人だと信じて疑わず。薄汚い野良犬がドブに落ちると一斉に集まって袋叩きにしてしまう。そんな善良な市民たちだ」リーガル・ハイより http://t.co/QyxoGbSZE2
エンブレムの問題が叩かれているのではなく、利権の為にやっているオリンピック全体が、いい加減でズサンだからみんなが怒っているのだ。佐野氏のバッシングはそういう批判の末端の力がそこにかかっているのに過ぎない。 t.co/8HdDEds3Dm
結局のところ、「新しいオモチャ」の如くネットバッシングの対象が佐村河内守から小保方さん、野々村議員、そして佐野研二郎へと移っていっただけなんだよね。ネットは今も次のターゲットを探してる。ったくクソな世の中だ。
◆この騒動を機に、にわかに脚光を浴びる「デザイナーという仕事」だが、その実態はなかなか理解されていない。
「デザイナー」と言えば、素人からすると華やかでかっこいいイメージがあるが…
佐野研二郎氏の肩書のひとつ『アートディレクター』ともなると、どんな仕事なのか理解しにくい。
アートディレクター(Art Director)とは、美術表現、芸術表現をもちいた総合演出を手がける職務を意味する。
広告制作の仕事は、アートディレクターが中心になり、あとコピーライターやプランナー、そしてグラフィックデザイナー、フォトグラファーというようにチームで制作を行うことが多い。簡単に言えばアートディレクターは現場監督みたいなもの。
アートディレクターは広告ビジネスのテリトリーに属する人ですので、自由なクリエイティブ性は必要ですがアーティストとは違います。
出典:アートディレクター齊藤秀雄が語るアートディレクターって何?
アーティストは自分の想うまま好き勝手に気ままに作品を作りますが、アートディレクターは広告ビジネスであることが前提ですから自分勝手なわがままなことは許されません。
◆そんな中、現在、twitterでは「ぐうたらこ@guutaraco」さんによって投稿された『デザイナーという仕事の実態』がわかるツイートが話題となっている。
デザイナーとかいうとすごいかっこいいものをアーティスティックに作る仕事だと思われがちですが、こんな部分を見や
すく作るのも大切な仕事です。文字を詰めて読みやすいところで改行したり、空きを数ミリ単位で調整する、果てしなく地味な仕事です。 http://t.co/1KzREHdb2Q
普段は見向きもしない商品の説明部分の画像とともに、「いかに見やすくするか」もデザイナーの大切な仕事だと訴える投稿者さん。
確かに、注目してみると文字列がきちんとしていて非常に「見やすい」。
・このツイートへの反響は大きかった。
t.co/QCAhzdLdJ5
これやり始めたら終わらなくなる地獄の作業よね。
それを職業にしている人は偉い。
・同業者と思われる方からは共感の声が…
Chat Noir Japonais@chat_japonais
華やかな仕事はほんの一部だよ。ブラック企業顔負けするくらいの仕事量と労力を要求されるし。 t.co/s001gsprFN
@nyahga 自己紹介のとき、一応デザイナーですって言うんですが、大体の人が華やかなイメージ持ちますからのう
私の場合文字校正とかレイアウト調整が大半ですわ…
◆他にも、業界に携わる人から『デザイナーという仕事』の実態がわかるツイートが数多く投稿されている。
・今回の佐野氏の一件から
ともかく佐野氏の一件で勉強になったのは、最近のデザイナーはクリエイターというよりはエディターというのが相応しい仕事してるんだなあというコト
佐野氏へのバッシングがスゴいが、その理由の一つに「アーティスト」と「デザイナー」の混同があると思う
画家に代表されるアーティストは、ひたすら自分の満足するものを作る
対して、デザイナーは、クライアントの依頼に基づいて仕事をする t.co/gYiJm5ZdXj
・デザイナーは芸術家とは異なる
佐野関連で
一般民には理解できないとかいう人が居たらしいが、広告業界におけるデザイナーの仕事って如何に多くの一般民に受け入れられるかが価値だよね
美術家と勘違いしてないか?そもそも受け入れられにくいのは個性派美術家だし、何かに似てるというのも有り得ないんだけどな
日本のデザイナーは、顧客たる一般人の顔は見ずに、支払われるお金の顔を見て、仕事をしている。
今回の五輪ロゴの模倣がその象徴。
選考委員会なんかも一般人からは不信感しかない。
どうしようも無いから、招致で使用したロゴにしないか?
誰も模倣と問題にしなかったのだから。
・具体的にそういう作業なんですね。
デザイナー「こんな感じのイメージでどうですか」(画像引用コラでイメージ画像制作)
委員会「お、いいっすね。んじゃこれでいきましょう」
デザイナー「じゃあこの路線で制作に入りま…」
委員会「発表します。こんな感じです」
デザイナー「え、ちょ、まって、それラフなんですけど!?」
山﨑 理 Osamu Yamazaki@yamazaki_design
デザイナーやイラストレーターの皆さん、参加費の出ないコンペや公募は辞退しましょう。一般の人にとって「作る」ことの大変さはなかなか理解してもらえないものです。だからクリエイター側から「どんなラフを作るにもお金がかかりますよ」ってことを啓蒙していかなければならないのです。
みなさんこんばんわ! んー、五輪ロゴの件、よく分からないのだけど私がデザイナー現役時代も資料からコピーしたものを「イメージです」って貼り付けたりした(あくまで社内)。でも、そのイメージに決まったら撮影したりラボ行って似たような写真を見つけて、ちゃんとお金払って使ったんだけどなあ
・業界の裏側がなんとなく見えてくる
何度も言ってるが起きたことは佐野氏という個人に収斂する問題では全然ない。「業界の馴れ合いによるやり捨て仕事」に対する怒りは”地方”でメシ食ってるデザイナーの多くが持ってると思う。
私はごく身近なところに本職のデザイナーがいるので、件のオリンピックエンブレム氏のことを聞いてみたところ、彼を含む「著名なデザイナー」同士で結託して仕事を独占するようなクソみたいな状況がデザイナー界では当たり前のようにあって、その腐敗が招いた当然の末路という見方のようです。
正直パクりはもうどうでもいい、コンペのやり方とか審査員選出の流れとか、金の流れとか、もっと周りを掘って掘って他のド汚い連中を表に引きずり出して欲しかったのに、ひたすら佐野の粗探しで終了な流れは、結局本当にズル賢く悪い奴は表に出て来ない仕組みになってるのかな
・そもそもデザイナーの仕事は…
誤解を恐れずに言えば「デザイン=既存の再構築」で、レディメイドの参照は前提。それをパクりと言うならばその通り、そもそも「アーティスト」じゃない。だけどパクりパクられを咀嚼しつつ自分なりの調理を加え、結果として凡人には思いつかないアウトプットをする、それがプロのデザイナーの仕事。
とはいえ、誰もが納得できるような説明を言葉でできるなら、デザイナーなんてやらないで、なんか別の仕事をやった方がいいんだよね。言葉が足りないのは宿命的だし、だからこそ雄弁な人はデザインの品質はさて置き重宝されるし、ゆえにデザイナーはデザインで語らなければ。
◆最後に…こういう視点も見逃せません。
中村佑介🎨Yusuke Nakamura@kazekissa
良くも悪くも、これだけ「デザイン」やというものが大きく注目された事はないので、引き続き他のデザインも注目して、日本の美的感覚やモラルの成長を助けて欲しい。そしてお気に入りのCDや本のクレジットを見て、今日も行われているデザイナーさんたちの細やかで素晴らしい仕事を確認して欲しい。
しかしながら、今回の騒動においては「世の中には盗作が溢れているかもしれない、全てを疑ってかかれ」ではなく、「いかに新しいものを創造することが難しいか」ということに視線を向け、今現在活躍しているデザイナーやクリエイターの方々をむしろ尊敬すべきタイミングなんじゃないかと思うわけです。