アナログレコードが若者に人気に
アナログレコード市場が急成長している。ネット配信で音楽を手軽に聴ける時代だが、若者を中心に手間をかけて音を聴く魅力やジャケット(外装)の良さが支持されている。
なぜアナログレコードが急に広まったの?
市場拡大の契機は米国だ。2000年代後半、人気アーティストの限定盤が並ぶ祭典が開かれたのを機に毎年4月以降に各国で開かれ、世界的に需要が増え始めた。そこに低価格のレコードプレーヤーが登場し、需要を喚起した。
日本では山下達郎らがかねてアナログ盤を出し、最近は福山雅治、Perfumeなども発売。音楽の楽しみ方の選択肢を広げるのが主な理由で、人気アーティストのアナログ盤の増加は市場拡大の要因だ。
カセットテープも若者に人気でレコードより売れてる!
「レコードの比じゃないくらいの伸び」(HMVレコード店)
HMVレコードショップ渋谷では「カセットテープは前年比で言うとレコードの比じゃないくらい伸びている」(竹野智博店長)という。アマゾンでCDとDVDの販売を立ち上げた経験を持つ角田太郎氏が店主を務めるワルツには、愛好家はもちろん、名の知れたミュージシャンから若い学生、外国人まで、様々な客層が連日訪れるという。
人気アーティストもカセットテープ版を発売
ユニコーンや大貫妙子…カセット作品リリースするアーティストも
大貫妙子は、自身が1977年に発売したセカンドアルバム「SUNSHOWER」をカセットテープで再販。ユニコーンもTBSドラマ「重版出来!」の主題歌「エコー」で、A面が楽曲、B面がカラオケという構成の「カセットシングル」をリリースしている。
カセットテープが若者に人気の理由
なぜ今、アナログなカセットテープが再評価されているのだろうか。カセットテープ収集家の松崎順一さんによると、「単純にモノとしての存在感が、逆に若い世代には新鮮に映った」という。
「まず、カセットテープの少し前にレコードのリバイバルが起こりました。レコードはCDよりもサイズが大きく、凝ったジャケットをじっくり眺めたり部屋に飾ったりする楽しみが評価された。カセットテープも、CDとは異なる長方形のパッケージやコンパクトな外観が、リアルタイムにカセットテープを経験していない若者には魅力的に映ったのでしょう」(松崎さん)
もちろん、その魅力は外観だけに留まらない。聴くまでの面倒くささやノイズさえも、魅力の一つとして評価されている。
「『データにお金を払っている状態』のCDに違和感」
前出の森氏は、「CDは、一度PCにデータを取り込んでしてしまえば、いくらアーティストやレーベルがこだわって作ったものだって、引き出しの中にしまわれっぱなし…。『モノというよりデータにお金を払っている状態』に違和感があった」とし、カセットテープに「モノ」としての価値観を見出す。
インスタントカメラ「チェキ」「写ルンです」も若者に人気に
今、世界中の感度の高い若者の間で、自己表現のためのカジュアルなツールとして人気なのが、インスタントカメラ“チェキ”。2015年には全世界で500万台以上を出荷し、さらに市場は拡大しています。
写ルンです
最近、若者を中心に人気が再燃している。理由はそのアナログなシンプルさと手軽さ。イマドキiPhoneでもじゅうぶん手軽に写真が撮れると思うのだが、若者の感性からするとスマホのデジタル写真は「キレイ過ぎる」ということらしい。アナログな温かみとか、フィルム特有の粗さとかが支持されているのだ
もちろん現代的なのは、それがインスタグラムなどのSNSに投稿されシェアされて、ブームに拍車をかけているということだ。