タイトル 明日は日曜日そしてまた明後日も
藤子不二雄A先生の執筆したブラックユーモア短編作品の一つ。
漫画雑誌『COM』(虫プロ商事)に連載された『白い童話シリーズ』の4作目で、『COM』1971年4月号に掲載された。
現在は『藤子不二雄Aブラックユーモア短篇集』(中公文庫)の3巻で読むことが可能。
また、最近では『コロコロアニキ』4号に掲載され、多くの会社勤めの読者を重苦しい気分にさせた。
この作品は藤子A先生の先見性の高さが伺える、後味の悪い作品として有名。
出典:アニヲタWiki(仮)
人は、子供から学生時代を経て成長し、いつかは社会人となっていく。
その社会人生活への入り口に立つ、田宮坊一郎という男がいた。
彼は大学を卒業し、大丸商事という会社から内定を貰っていた。
そんな坊一郎は、出勤前に母親から過保護なまでに様々な用意を施されていた。
父親は対照的に厳しいことを言いながら、坊一郎と共に家から会社に向かう。
出典:アニヲタWiki(仮)
坊一郎は会社に向かうために電車に乗るが、電車には大量の社会人が乗車。
満員電車となった電車内で潰されそうになった坊一郎は、思わず『パパーッ!』と泣き言を叫ぶ。
父親は坊一郎に励ましの言葉を送り、坊一郎は何とか降車するのだった。
出典:アニヲタWiki(仮)
坊一郎は会社に向かったが、彼は大丸商事のビルの大きさに圧倒される。
そして、会社に入る人々の波に困惑しながら、会社に入れずにウロウロしていた。
その時、彼を不審に思った警備員が高圧的な態度で坊一郎に問いかける。
その態度に怯えた坊一郎は、自分がこの会社の新入社員であることを伝えられず、体を後ろに後退。
ついには大声を出しながら、会社から逃げ出してしまった。
出典:アニヲタWiki(仮)
息を荒くしながら、必死に会社の前から逃げ出す坊一郎。
すると、坊一郎の近くにある店に置かれたラジオから、午前11時を知らせる音声が流れる。
入社初日から汗を流しながらこっそりと会社に入る自分。
その光景に驚き、自分を叱りつける上司……。
そんな光景が頭に浮かび、会社に行けないと呟く坊一郎。
さらに両親の激励も頭に思い浮かび、坊一郎は汗を流すしかなかった……。
出典:アニヲタWiki(仮)
坊一郎は会社に行くのを諦め、ベンチに座って弁当を食べることにする。
母親の作った弁当を一口一口と口の中に入れていくに連れ、彼は涙を流した。
やがて日は沈み、多くの社会人は家へと帰宅していく。
坊一郎もその波に紛れ、浮かない顔で家に帰っていった。
出典:アニヲタWiki(仮)
帰宅して家の玄関に入ると、両親が坊一郎の元へと駆け寄る。
朝は厳しいことを言っていた父親も、結局は息子の事が気になって会社を早退したようだ。
家には坊一郎の初出勤を祝うための豪華な食事まで用意されていた。
坊一郎の初出勤を祝い、家族で祝杯を挙げる両親。
両親は満足げにビールを飲むが、当の本人は浮かない顔である。
父親はやっと肩の荷が下りたと感じ、坊一郎を立派なサラリーマン(なってないけど)にしたことに満足していた。
出典:アニヲタWiki(仮)
両親は坊一郎に初出勤の感想を聞く。
当然出勤していない坊一郎は言葉に詰まってしまう(この時、コマが砕け散る演出で坊一郎のショックを表現している)。
その様子を見て、何か失敗をしたのではないかと疑う両親。
だが、坊一郎は今日は先輩に紹介されただけで仕事はしていないと嘘をつく。
この話を聞いて、父親は仕事をさせてもらえない不満から浮かない顔をしていたのだろうと判断した。
今に嫌になるほど仕事をさせられると笑って励ます父親。
出典:アニヲタWiki(仮)
次の朝、カステラを用意されながら出勤するふりをする坊一郎。
当然、両親は坊一郎が出社していない事実には気が付かない。
坊一郎は降りた駅のベンチで、人ごみの中何もせずに座る。
やがて人はいなくなったが、誰かが坊一郎に声をかけた。
声をかけたのは、坊一郎の学生時代の知り合いの中田という男性だった。
出典:アニヲタWiki(仮)
中田は坊一郎に対して、どこに勤めたのかと尋ねる。
そして坊一郎の就職した大丸商事の名前を聞き、タバコをふかしながら『いいとこに就職したじゃないか』と坊一郎を褒める。
逆に坊一郎は中田に対して、どこに就職したのかと尋ねた。
出典:アニヲタWiki(仮)
中田は広告代理店に就職し、入社当初から買いかぶられて多くの仕事を任されたらしい。
しかし、忙しい生活にも充実感を感じており、今も広告主の元に尋ねようとしていた所だった。
そして中田は、『坊一郎もお得意様回りなのか? まさか今出勤するわけじゃないだろうな』とからかいながら尋ねる。
だが、坊一郎は何も答えられず、駅に到着した列車の姿を確認すると、急いで中田の元を立ち去った。
出典:アニヲタWiki(仮)
電車の中で涙を流しながら弁当を食べる坊一郎。
一方、母親に会社から電話が来る。その電話によって、両親にも坊一郎が会社に行っていないことが知らされた。
その頃坊一郎は、涙を流しながら隣の席の人に分けるようにと渡されていたカステラを頬張っていた。
出典:アニヲタWiki(仮)
舞台は移り、どこかの病院。
そこには坊一郎の抱える病気について医者から説明を受ける母親の姿があった。両者の顔は黒く塗り潰され、表情は窺い知れない。
虚ろな目の坊一郎の姿を交えつつ、医者は語る。
どうやら坊一郎は、社会とか組織とかに対する協調性や同化性が失われているらしい。
そういったものに対し、激しい拒絶反応を起こして心を閉ざすとのこと。
そのため、最初に会社に行きそびれたのがきっかけで、もう勤めに何度出ても駄目になった
出典:アニヲタWiki(仮)
つまり、坊一郎は勤めることの出来ない病気となったようだ。
一応、その他にどこといって悪い点は無い。
だから、しばらくは家で好きなようにブラブラ呑気にさせろ……というのが医者の見解だった。 *1
やがて月日は流れる。
田宮家に勤めを終えた父親が帰ってきた。
父親の顔はやつれ、髪の毛は総白髪になっていた。
彼を出迎えた母親に至っては、同じく総白髪になったばかりか、かつての肥満体型が嘘のようにやせ細っていた。
靴を脱ぎながら、父親は坊一郎の様子について尋ねる。
母親が言うには、相変わらず二階でじっとしているらしい。
坊一郎は、虚ろな表情でただじっと部屋の中にうずくまっていた。
顔は少し老けているが、肥満体型は悪化し、浮腫んでしまっている。
部屋には敷きっぱなしの布団、漫画雑誌や新聞、何も入っていない鞄が無造作に転がっていた……。
坊一郎の日曜日は、ずっとずっと続いていくのだった。
出典:アニヲタWiki(仮)
ネットでの意見
よく面接通ったな
お前らの大半こんな感じなんやろ?
ニートや22過ぎたアルバイトも終わりはこれと同じ