はじめに…
風立ちぬとは
飛行機に憧れている少年・二郎は、夢に現れた飛行機の設計家・カプローニ伯爵に励まされ、自分も飛行機の設計家になることを志す。青年になった二郎は大学で飛行機の設計を学び、関東大震災で偶然出会った少女・菜穂子と彼女の女中を助ける。二郎は二人を気にかけるが、それきり彼女達とは会うことはなかった。
大学を卒業した二郎は飛行機の開発会社に就職する。仕事に打ち込んだ彼は入社5年目にして海軍の戦闘機開発のチーフに大抜擢されるが、完成した飛行機は空中分解してしまう。飛行機開発において初の挫折を経験し意気消沈した二郎は避暑地のホテルで休養を取り、そこで思いかけずに菜穂子と再会する。
元気を取り戻した二郎は菜穂子との仲を急速に深めて結婚を申し込む。菜穂子は自分が結核であることを告白したが、二郎は病気が治るまで待つことを約束して二人は婚約する。
だが菜穂子の病状は悪化し、ついには喀血する。菜穂子は二郎と共に生き続けることを願い、病気を治すために人里離れた病院に入院する。
しかし再び戦闘機の開発に取り組んでいた二郎が菜穂子を見舞に行けないでいると、菜穂子は病院を抜け出して二郎のもとを訪れてしまう。
二郎は菜穂子に付き添って看病したかったが、飛行機の開発を捨てるわけにはいかず、そのまま菜穂子と結婚して毎日を大切に生きることを決意する。
二人の決意を知った二郎の上司がささやかな結婚式をとり行い、上司の家の離れに間借りして、二人は結婚生活を送りはじめる。
出典:Wikipedia
▼風立ちぬが面白くなる
主人公が欠落している
あひるねこ「そもそも二郎は、美しい飛行機を作ることにしか興味のない人間として描かれています。ちょっと変人だけど天才という感じ。それが良い悪いではなく、ただ欠落してるんですね。
そんな二郎が加速するのがカストルプとの出会い。あのシーン以降、二郎はより飛行機作りにのめり込み、菜穂子が結核にかかってもほとんど放ったらかし状態です」
──そう言えば、結核の菜穂子の前でタバコ吸うシーンとかあったね。でも、二郎が自己中で菜穂子に冷たく見えるのは、そういう時代だからって感じもするけどね。「ん?」ってシーンも僕は今の価値観とのギャップと捉えちゃった。
あひるねこ「まあ、そういう考えもあるかもしれませんが……ともかく、色んな意味であの軽井沢は転換点であることは間違いありません。
出典:ニコニコニュース
この「風立ちぬ」に寄せられる感想としては、「二郎が勝手過ぎる」や「菜穂子かわいそう」などがあると思う。殊に、男女の間ではそういった意見に割れやすく、僕自身としてもそういう意見はよく聞いた。
でも今回見ていて思ったのは、結局のところ「どちらも人間的に不完全なんだな」という部分だった。
出典:ここだけのはなし
菜穂子も、やはり「正直」な女性だったんだなと思う。
自分を地震のとき助けてくれた男性を一途に思い、その男性の夢を側でずっと見続けることを病気になっても思う。一途だ、でも悪い見方をすれば「世間知らず」な女性である。
菜穂子自身の家が裕福で、箱入り娘のような部分は多々見受けられる。それ故に「世間知らず」であったとしても仕方ないとは思う。それでも、二郎に対する思いに応えようとする彼女は、どこか「少女」のように見えて仕方がなかった。少女故に二郎に対して献身的で、自分を犠牲にしてでも「正直」できれいな自分を二郎に見せたかった。
一見すると、どちらもいい人で「正直」な人たちである。でも、やはりどこか不完全で、そんな人間臭い部分は、この「風立ちぬ」の魅力であると思う。
出典:ここだけのはなし
主人公のモデルは
複数いる
主人公ですが、実在するゼロ戦設計者、堀越二郎がモデルです。また同時代に生きた文学者の堀辰雄の人生も組み合わされているんです。なので実話ベースのフィクションとなっています。夢を追う二郎、愛に生きる辰雄まったく異なる人生の融合です。
これだけじゃないんです。なんと監督である宮崎駿の父の人生も織り込まれているんです。宮崎の父は、幼いころに関東大震災に遭い、その後前妻を結核で亡くしているんです。さすが世界の駿。3人の人生を1人の主人公に集約しているんですね。
主人公の声優は
庵野監督
エヴァの監督です^^
庵野の声はすごいよかったですよ!あの技術バカなキャラにぴたりと合って。まあ一緒に見に行ったおよめさんには絶不評だったので効果には個人差があります。
それに、二郎さんが庵野に見えて仕方なくなるという副作用もあるんですが(笑)。
謎の男「カストルプ」のモデルは
スティーブン・アルパート
本作に出てくる謎のドイツ人「カストルプ」の声は
スタジオジブリの元社員スティーブン・アルパートさんという方です。
カストルプのモデルにもなったアルパートさんは
海外事業部に所属し、宮崎監督が海外に行く際には
必ずアテンド、いつしか仕事を超えた友人になっていたそうです。
映画の中では大盛りのクレソンサラダを美味しそうに食べるシーンが印象的ですが、
ご本人はそこまでクレソンは好きではないそうです。
ちなみにクレソンは明治初期に日本に導入され、軽井沢の外国人の為に栽培されたそうです。
出典:Facebook
効果音は
人の声で再現されている
飛行機のプロペラ音、蒸気機関車の蒸気、車のエンジン音、関東大震災の地響きなど、
劇中のさまざまな音が人の声で再現されている。
出典:シネマトゥデイ
昔のお菓子が出てくる
シベリアというお菓子で、どら焼きに似ている
映画「風立ちぬ」、もうすでに見た方も多いと思いますが、劇中に出てきた謎のお菓子が気になりませんでしたか?
カステラの様だけど、カステラにしては厚みがありすぎるお菓子。劇中では「シベリア」と呼ばれていたものですね。
結論からいうと、シベリアはかなり美味かったです!
シベリアとはよくいったもんで、とてもヒンヤリしたお菓子でした。というより羊羹がヒンヤリしていますね。
ふわっとしたカステラと、ヒンヤリとした羊羹が口の中で極上の食感をもたらしてくれます。「昭和初期の子供が食べたいお菓子No.1」は伊達じゃありませんでしたよ。
またスッキリした甘みで、少しもしつこくありません。
僕はあまりお菓子を食べない人で、甘い物は、そんなに好きではないですが、最初から最後まで美味しく食べることが出来ました!今度は渋いお茶と共に食べたい!
音楽が良かった
音楽がすごくよかったことは特に指摘しておきたいです。正直なところ「ポニョ」あたりでは(……久石さん枯れちゃったのかなぁ)とおもっていたのですが、本作では音が若返ったような印象を受けましたよ。メインテーマの、シンプルだけど印象深いメロディラインも大変すてきだったんですが、それ以外のところでも至るところで音は響いていて、ふと気付いたときに(あぁいい音楽だなぁ)と素直に思えるという、映画音楽として理想的なあり方だったんじゃないかと思います。
心憎いことには、二郎が設計しているときのBGMなど、まさにこの時代の産物であるモダニズムの響きを連想させるものでした。
昭和のにおいを感じる
映画の至るところで、当時の昭和の文化を感じることが出来ます。たとえば、タバコ。登場人物の皆さん、そこらへんで、大量にタバコを吸っています。
今では考えられない光景です。禁煙推進団体が抗議するほどですから。
また作中に出てくるお菓子の「シベリア」。この餡子をカステラで包んだシンプルなお菓子は、昭和初期に子供達が食べたいお菓子ナンバー1に選ばれるほど、とても人気があったものだそうです。
ラストの意味が深すぎる
「風立ちぬ」のラストシーンは、宮崎駿が一番最初に考えた内容と映画化された内容とで、大きく異なることはご存知でしょうか。
どのように違うかというと、ラストシーンでヒロイン「菜穂子」の『生きて』とセリフが、もともとは『来て』というセリフだったそうです。主人公「二郎」が亡くなった菜穂子のいる世界(天国)に来てほしい、つまり二郎も死んで菜穂子と2人で天国で過ごすというものになります。そこからセリフの変更が行われ、放映された映画の内容になったそうです。
変更内容は、「来て(キテ)」から「生きて(イキテ)」とたった『1文字』のセリフの変更になります。その『1文字』が、主人公「二郎」が『亡くなる結末』から『生きる結末』へとストーリーを変えることになりました。
風立ちぬの裏側では
宮崎駿「菜穂子を死なせたくない」
菜穂子に感情移入してしまった宮崎駿は、菜穂子を死なせたくないといい出しました。
結局スタッフともめたのち、作品の尺に入りきらないという理由で原作通り菜穂子が死ぬことになりました。実際に「もののけ姫」のエボシは死ぬはずでしたが、設定が変わり死ななくなった過去があります。