◎火災保険を使ったリフォームのトラブルが増加しています
突然、訪問してきた業者
「請求サポート手数料」などの名目で、保険料の何割かを支払うよう求める業者がいます。さらに、クーリングオフで工事契約を解約しても、手数料は対象外だと押し切って請求する悪質な例もありました。
突然事業者が訪れ「風水害や雪害などが原因で家屋に壊れたところはないか。損害保険で負担なく修理ができる。
出典:「保険金を使ってタダで自宅を修理できる」と誘う業者に注意 - シニアガイド
当社で見積もりを出し、保険適用されれば保険金が出る」と言われたので、数年前の大雪でベランダの屋根がゆがんだことを話した。
後日その事業者の調査員が来ると言われ、申込書にサインした。
出典:「保険金を使ってタダで自宅を修理できる」と誘う業者に注意 - シニアガイド
その後、契約している保険会社に問い合わせてみたら「あやしい話ではないか」と言われ、心配になった。
申込書をよく見たら「保険会社に認定された保険金額が、見積金額より大幅に減額され修理工事が困難な場合は、30%の手数料を払う」と記載されていた。
出典:「保険金を使ってタダで自宅を修理できる」と誘う業者に注意 - シニアガイド
30%の手数料の話は聞いていないし、保険金額によって修理工事をするかどうかが決まるのも不審なので、この事業者への申し込みをやめたい。(70代女性)
~東日本大震災以降、相談件数は毎年1,000件以上
自然災害に関連して様々な消費者トラブルが発生している
地震、台風、大雨、大雪などによる自然災害が毎年のように発生しています。自然災害が新聞やテレビ、インターネットなどで大きく報じられると、被害の大きさや深刻さなどが注目されますが、そのような中で、自然災害に関連して様々な消費者トラブルが発生していることをご存じでしょうか。
全国の消費生活センターに寄せられる消費者トラブルに関する相談をみると、大きな自然災害が発生した年は相談件数が増える傾向があります。
近年では、東日本大震災直後の平成23年度(2011年度)に相談件数が急増しています。
東日本大震災を除いた自然災害に関する相談をみると、平成23年度から平成27年度(2015年度)にかけては毎年度とも1,000件を超え続けています。
~「保険金で住宅修理」、新たな手口に注意
火災保険金を代理で請求する、という業者も
台風などで住宅に損害があれば、火災保険で請求できる(正確には可能性がある)ります。
このとき、「こちらで保険金請求を代行するので、その保険金で住宅の修理が無料でできる」などと謳う業者も数多く存在します。
基本的に、保険金の請求は契約者や被保険者が行うものです。
仮に台風で住宅に損害があっても、よっぽど甚大で致命的な損傷がなければ、保険金を請求する人は少ないでしょう。
また住宅の損害の中には、ある程度の知識がないと外見からでは分かりにくいものもあるため、保険金の請求漏れにつながる可能性もあります。
このあたりのことを業者は突いてくるわけです
「保険金を使えば負担なく家の修理ができます」と勧誘する住宅修理サービスに関する相談が急増しているとして9月6日、国民生活センターがトラブル防止へ注意を喚起した。
60歳以上からの相談は同種相談の8割を占めている。
加入している火災保険等によっては、住宅の火災だけでなく、台風や風水害などの自然災害による損害も補償されますが、このことを誘い文句に勧誘され、実際には保険適用とならない工事を契約させられたり、高額なキャンセル料を請求されたりといったトラブルが全国で発生しています。
◎訪問勧誘に注意!
自然災害を口実にした勧誘トラブル
見知らぬ業者が消費者宅を訪問し、「屋根の一部が破れており、今度大雨が降ったらきっと雨漏りする」「外壁が傷んでいるので次に台風が来ると危ない」などと不安をあおり、契約を強いられた。
このように、自然災害を口実にした便乗商法と思われる勧誘や不審な勧誘も起きています。
便乗商法は、その時々で世間の注目を集めている話題を利用して、消費者の関心を引こうとします。
特に大きな被害を伴う自然災害が起きた場合は、災害への関心の高まりを利用して、被災地の消費者はもとより被災地以外の消費者を狙った便乗商法などが現れる傾向があります。
大雨(雪)の後、雨漏りに困っているところに訪問を受け、「自己負担ゼロ。保険金を使えば無料で修理できる。保険の申請も無料で代行する。」と言われたので屋根の修繕の見積もりを頼んだ。
出典:「保険金が使える」と言って住宅修理を勧誘するトラブルに注意! | 埼玉県宮代町公式ホームページ
見積もり額は高額だったが、保険がおりるならいいと思って、そのまま契約した。後日、保険が適用されないことが分かり、工事前なのでキャンセルを申し出たら、キャンセル料として高額な工事代金の50%を請求された。
台風の数日後に訪問を受け、「今なら保険が使えるから屋根の修理をしましょう。面倒な保険の申請はこちらでやります。」と勧誘された。
出典:「保険金が使える」と言って住宅修理を勧誘するトラブルに注意! | 埼玉県宮代町公式ホームページ
以前から老朽化により修理が必要だと思っていたので丁度いいと思い、その事業者に屋根を見てもらったところ「古くなったところも台風のせいにして保険金を請求しましょう」と言われた。少し不安に思ったが「そんなものなのかな?」と思い事業者に保険請求を任せた。後日、保険会社から「老朽化による損害は保険支払の対象外だ」と言われた。
「雨どいが一部破損しているので、保険を使ってすべて交換してはどうか。雪害、風水害で破損した場合は保険適用になるので費用負担なしで交換できる」と言われた。
出典:「保険金を使ってタダで自宅を修理できる」と誘う業者に注意 - シニアガイド
雨どいの破損は自然災害ではなく経年劣化だと思うし、破損は一部なのにすべて交換というのはおかしい。そのことを事業者に伝えると「保険の申請のとき、私どもでうまくやるので大丈夫」と言われた。そのようなことをすれば保険金詐欺になるのではないか。(60代男性)
◎なぜ、このような事例が発生するのでしょうか?
理由の一つとして、保険金申請のノウハウさえ分かれば、誰でも簡単に始められるからです。さらに、正しい方法で申請すれば高確率で保険金が下りることも要因のひとつです。
火災保険とは?
火災保険は損害保険の一つで、建物や建物内に収容された物品(住宅内の家財用具、工場などの設備や商品の在庫など)の火災や風水害による損害を補填する保険です。
このように火事で家が焼けたときだけではなく、台風や暴風雨などの風災、大雪などの雪災による損害も補償の対象となります。
火災保険金を使えるのは、損害を受けた箇所を現状回復するケースのみです。
原状回復とは?
壊れたり傷んだりした部分に手を加えて、再び以前の状態に戻すこと。つまり、部材や設備の新品交換や追加をせず、再び本来の価値を回復する工事のことです。
原状回復とリフォームを混同しがちですが内容は全く異なります。
リフォームは、間取りの変更や、壁や床、天井の遮熱性、遮音性を高めたり、台所や浴室の設備を新しく替えることです。つまり、住まいをよりよい環境に整え、価値を高める工事のことです。 リフォームと原状回復の違いをしっかりと覚えておきましょう。
業者によって「保険会社とうまく交渉して水増し請求する」といった話をもちかけることも。
一般的に損害確認は、損害保険鑑定人が現場調査をして判断します。
彼らは専門家ですから損害箇所を見れば、損害か単純な劣化によるものなのかはすぐにわかります。業者が「保険金で修理できますよ!」と言われても火災保険の対象にならない部分は自己負担となります。
~火災保険の請求は誰がするべき?
業者はいろいろ言ってくる
「あなたに変わって保険会社に保険金の請求をしてあげましょう」
「保険金の請求書類を書くのって難しいですよね」
「こちらにまかせれば無料で住宅の修理ができますよ」
業者はこのようにいろいろ言ってくるわけですが、前述のとおり、そもそも保険金の請求は契約者や被保険者がするもの。
他人が行うものではありません。
しかも実は、保険金の請求書類を書くにはそんなに難しいものではありません。
出典:火災保険で家の修理ができる…それって詐欺かも!? [損害保険] All About
繰り返しになりますが、火災保険の支払い事由に該当すれば、そもそも修理代は保険金でカバーされるので無料なのは当たり前です(免責金額の設定などがある場合は自費の負担があります)。
「保険会社とうまく交渉して請求する」なんて話もそもそもありません。
出典:火災保険で家の修理ができる…それって詐欺かも!? [損害保険] All About
劣化による損害は保険金の支払い対象外と言いましたが、損害確認が必要な場合は、損害保険鑑定人と呼ばれる人が現場にやってきます。
彼らはプロですから損害箇所を見れば、例えば強風による損害か、単純な劣化によるものなのかはわかるのです。
出典:火災保険で家の修理ができる…それって詐欺かも!? [損害保険] All About
損害の原因についても、「6カ月前にあった台風で壊れたことにする」など事実に基づかないことをすると、詐欺に加担することにもなりかねません。注意してください。
◎「トラブルに巻き込まれないためには」
急いで契約せず、間を空けてください。
まずは安易にリフォームや修理における契約をしないことです。
契約させられそうになったら「家族と相談してからでないと契約できない」と言っていったん断ってください。
あるいは知り合いにも業者がいるので相談してみてもいいでしょう。
急いで契約せず、間を空けてください。
訪問してきた業者の話を真に受けてすぐに契約をすることはやめましょう。
契約させられそうになったら「家族と相談しないと契約はできない」と言って一旦断わりましょう。「知り合いに業者がいるので相談します」と伝えてもいいでしょう。
実際に損害が発生している場合、保険会社に保険金の請求を行うわけですから、損害保険会社あるいは契約している保険代理店などにまず相談しましょう。
まともな保険代理店であればすぐに動いてくれるはずです。
災害があった直後は、被災地域に勧誘にくるケースもあるので特に注意が必要です。
特に被災した場合、じっくり考えている気持ちの余裕がないことも。こんなトラブルもありうるということを、ぜひ日頃から認識しておきましょう。
~身近な人や公的な相談窓口に、迷わずすぐにご相談を。
不安や疑問を感じたとき、トラブルに遭ったときは・・・
業者の勧誘を受けて不安や疑問を感じたり、消費者トラブルに遭ったりしたときは、最寄りの消費生活センターにご相談ください。
最寄りの消費生活センターの電話番号は下記でご確認ください。
・全国の消費生活センター一覧<a target="_blank" href="http://www.kokusen.go.jp/map/index.html">http://www.kokusen.go.jp/map/index.html</a>
・消費者ホットライン 188
日本全国のお近くの消費生活相談窓口をご案内します。
住宅の損傷について不安をあおったり、契約を急がせる業者もいますが、住宅の修理などの工事をする際は、業者の説明をよく聞き、他の複数の業者から見積りを取ったり、周囲に相談したりして慎重に検討して判断しましょう。
工事と保険金の請求をセットで契約させ、高額な手数料や解約料を請求される事例があります。保険会社に火災保険の保険金を請求するときは、必ず消費者自身が事実に基づいて行いましょう。
訪問勧誘や電話勧誘などで契約した場合は、契約書面を受け取った日から8日間は、「クーリング・オフ制度」によって契約を取り消すことができます。