◆人の「性格」も両親から子へと遺伝する?
身体的な特徴だけじゃなかった。
近年の研究によって、親から受け継ぐ「遺伝子」が、身体的な特徴だけではなく、あらゆることを決定付けていることが分かりました。
性格も、知性と同じくらいある程度は遺伝で決まる。
心も脳の働きの表れである以上、顔つきが親に似るように、親からの遺伝によって影響を受ける。
出典:週現スペシャル 大研究 遺伝するもの、しないもの【第1部】一覧表でまるわかり 遺伝する才能、しない才能、微妙なもの(週刊現代) | 現代ビジネス | 講談社(1/6)
◆「性格」の約50%は遺伝で決まる。
さらに、スポーツ、音楽、数学、一般知能などの「能力」となると8割が遺伝によって決まる。
行動遺伝学によれば、神経症傾向や外向性、調和性、固執などの性格的特徴は4~5割が遺伝の影響。
出典:[橘玲の日々刻々]遺伝は性格に影響を与えるが、家庭を調べても分からない | 橘玲×ZAi ONLINE海外投資の歩き方 | ザイオンライン
性格における遺伝の影響が約半分とすると、残りの半分は環境によるもの。
出典:遺伝は性格に影響するが、家庭を調べてもなにもわからない 週刊プレイボーイ連載(74) – 橘玲 公式BLOG
いわゆる「後天的性格」。育てられ方や役割、経験などで変わっていく性格のことを指します。
生まれ持った気質も「遺伝」で決まっています。
例えば「誰かのために尽くしたい」というのは気質によるものです。反対に「人の世話をするのがかなり苦痛」という気質もあります。また「周りの雰囲気に敏感」という気質もあれば、「マイペースで人の意見を気にしない」というものもあります。
「一生変わらない性格」は気質。ほぼ遺伝で決まっています。
◆人の性格の半分は遺伝によるもの。その中でも『正義感』も両親から遺伝するという研究成果が明らかとなった。
「モラル」も遺伝だったのか…
正義感、モラルといったものは社会で培われる「後天的な」イメージが強いが…
「正義感」も遺伝する可能性があることが分かりました。
一体、どのように調査したのか?
ジェイソン・カウエル氏とジーン・デサティ氏は、正義感や道徳心が遺伝するのかを調べるために、生後12カ月から24カ月の幼児73人とその両親を調査。
最初に両親の正義感をチェック
実験では、最初に幼児の両親に対して正義感や倫理感をチェックする試験が行われました。
この試験は不公平な事例を見て人がどのように反応するかを見るためのテストで、正義感や道徳心の強い人と、そうでない人に分類された。
続いて幼児にアニメを見せて脳波を調べた。
続いて、幼児に「献身的で正義感の強いキャラクター」と「他人の邪魔ばかりする意地悪なキャラクター」という2種類の主人公が登場するアニメを見せました。
幼児の正義感を直接調べることは難しいことから、脳波を測定するelectroencephalography(EEG)ヘッドセットを使って、幼児の脳波を測定して正義感の強さを推測。
アニメを見ているときの幼児の脳波を調べると、一部の幼児は、正義キャラが登場するアニメを見ているときの方が意地悪キャラのアニメを見ているときよりも強い反応を示すことが分かりました。
そして、これらの反応を見せた幼児の両親のほとんどが、正義感テストで「正義感が高い人物」に分類されたことも分かった。
つまり、正義感の強い両親から生まれた子供は、正義感の強いアニメキャラクターにより関心を示したということ。
今回の実験から、これまで正義感や道徳心という後天的に獲得すると思われていた性質が、両親から遺伝的に受け継がれるものであるという可能性が示唆されています。
モラルの高さも親から引き継いだ部分が多かった…
◆遺伝として受け継がれる「意外」な要素は他にも存在していた。
【幸福度】
人が幸福か不幸かを決める要因は様々なはずなのだが…
「幸福ホルモン」の異名を持つセロトニンという神経伝達物質が、5-HTTという遺伝子によって司られているから。
出典:日本人は遺伝的に幸せを感じにくい?遺伝子で決まることあれこれ » yummy!
このセロトニンを司るのが5-HTT遺伝子であるならば、幸せと感じやすいか否かも遺伝による部分が多いということ。
セロトニンとは?
セロトニンとは『ノルアドレナリン』や『ドーパミン』と並んで、体内で特に重要な役割を果たしている三大神経伝達物質の一つ。
セロトニンが多く分泌されている状態だと、「他人との結びつきを求めたり」「幸福感」を感じます。これが少ないと「不安」になったり「うつ病」の原因にもなります。
ちなみに、わたしたちアジア人は他の人種に比べ、この5-HTT遺伝子の働きが弱いそう。
幸福感や憂うつなどの精神状態によるホルモンなどの化学物質は精子や卵子に作用し、生まれてくる子どもに持続的な影響を与える可能性がある。
出典:幸福や不幸は遺伝するのか?受精前の両親の心理状態が子どもの遺伝子に影響する可能性 - GIGAZINE
これまで言われてきた妊娠期・授乳期の精神状態のみならず、それよりはるかにさかのぼった期間の母親・父親双方の精神状態が子どもに影響するという仮説も存在するそう。
【政治的思想】
実は政治的姿勢にも遺伝子に負う部分がある。
政治的な考え方や行動は環境によって決まると考えがちだが…
(政治的態度が)われわれの生物学的な生理にも、ある程度根ざしている。
カリフォルニア大学サンディエゴ校の政治科学と遺伝医学の教授James Fowler博士らは2000人のデータをもとに行った研究で、ドーパミン受容体D4をつかさどるDRD4遺伝子の特定の型をもつ人は、そうではない人と比べリベラルとなりやすいことを発見。
出典:政治思想は遺伝するのか?「リベラル遺伝子」が発見される - GIGAZINE
ドーパミンの受容体の一つであるD4受容体をコードする遺伝子のうち特定のタイプと、新奇探索行動(いわゆる「新しいもの好き」)とのかかわりあったことが、研究で明らかとなった。
ドーパミンとは?
ドーパミンは神経伝達物質で、快感や多幸感を得る・意欲を作ったり感じたりする・運動 調節に関連するなどの機能を担う脳内ホルモン。
ネブラスカ大学で2012年に行われた研究では、保守派の人々はリベラル派の人々に比べて、「否定的なイメージ」により注意を向け、より強い反応を示す傾向があるとされた。
出典:「政治的な志向性」には遺伝子の影響も:研究結果 | ハフポスト
脅威を感じる状況では保守的な意見が強まる傾向を説明すると見られている。
「政治的思想」は理屈ではなく、生理的、本能的なものでもあった。
だから意見が食い違うのか…
「政治的志向」には生物学的な基盤があると認識することで、人々は互いに対してより寛容になり、その結果歩み寄りが促されるようになる可能性がある、とヒビング教授は指摘する。