◎プロ4年目、田中はあることに気づく…
全投球チャートだった。20試合で643人に計2301球。対戦打者ごとにストライクゾーンを内外高低に分割し、1球ずつ球種と結果が記されている。丹念に見返した。
◎「打たれた長打は、ほとんど全部フォークじゃないか!」
許した安打は計159本。そのうち、35本が長打だった。その多くが「フォークが抜けて、高めに浮いた失投」と気が付いた。
◎勝負球をフォークからスプリットに変える!
この発見が始まりだった。11年の春季キャンプからフォークを封印。代わりに、スプリットフィンガード・ファストボール(SFF)を勝負球とした。
◎高めの抜け球も減り、長打が減った!
浅く握る分、小さい落差で鋭く落ちる。「低めからボールゾーンへ。失投しても、ほとんどワンバウンドになる。長打のリスクが減る」。
フォークボール
SFF(スプリット)
◎SFFのお手本は雑誌に載っていた「ファルケンボーグ」
本人曰く、雑誌に載っていたファルケンボーグの握りをそのまま使っているとのこと。
◎ファルケンボーグの魔球が誕生したのは実は日本で!!
日本に来たときに持ち球を聞かれて、一応スプリッターもあると言っておいたら、コーチや捕手が『それはいいね』って喜んでね。サインがそればかり出るようになっちゃったんだ。ホントはカーブが得意だったんだけど…。
◎駒大苫小牧監督が語る田中の恐るべき「適応力」
高校時代の対応力はすごかった。何でも、やればできてしまう。球種でもすぐに身につける。高校に入学した時点で球種を聞くと、フォークがなかった。フォークはキャッチボールで投げた程度だというので、投げさせてみたら、1球目から実戦で使えるレベルでした。
出典:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140125-00000010-nkgendai-base
◎体だけではない。頭脳もフルに使う田中
過去の対戦データを登板前にかなり見返している。打たれたらフォームや配球の確認をする。そういう姿勢は、他の先発と比べても人一倍です」。
◎フォークやスプリットが得意な日本人投手はメジャーで成功
95年にはドジャースに移籍した野茂英雄がフォークを武器に新人王を獲得した。メジャーのボールは縫い目が高く空気抵抗を受けやすいため、フォークやスプリットを得意とする佐々木主浩、上原浩治、岩隈久志、ダルビッシュらの日本人投手は活躍する傾向にある。
出典:http://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2014/01/28/kiji/K20140128007473770.html
野茂英雄
佐々木主浩
上原浩治
ダルビッシュ
◎もちろん、マー君もスプリットで大活躍中!!
彼のスプリットは圧倒的だ。多くの空振りを奪っていたし、バットにまともな当たりもなかった。バッターに聞けばどんなにいい投手か教えてくれるはずだよ。
出典:【米国はこう見ている】田中将大がデビュー3戦目で示した実力に対戦相手も脱帽 「あそこまでのボールはあまり見たことがない」 - ライブドアニュース
◎“生みの親”ファルケンボーグが語るマー君の決め球
「グレートだね。彼の活躍は本当にうれしいんだ。握りを雑誌で見ただけで覚えてしまうこともすごいし、それをあそこまで磨き上げるなんて本当に信じられない。僕から学んだといっても直接教えたわけじゃないし、僕はほんのきっかけ。1つのピースに過ぎないよ。あれは彼のオリジナルといってもいい。僕はあんなに自由自在には操れない」
◎田中の決め球との違いはどこにあるのか?
ファルケンボーグの最大の特徴は200センチの長身
ぼくはこの身長を生かして、とにかく高い位置からボールを放って角度を付けようと心がけている。田中の場合は身長がそれほど高くないよね。だから変化の度合というか、落差が重要になる。共通するのは打者の手元まで直球と同じ軌道であること。いかに打者の目線を動かすか。スプリッターが有効だといっても、直球が第一。これは彼も同じ考えだと思う
◎田中の魔球は、登板するごとに評価が上がる!!
球速はストレートとそれほど差がなく、落差は大きい。そのボールをホームベースの両サイド低めギリギリに制球するのだから、打者はお手上げ。“嫌らしい”と呼ばれるのも当然だろう。
◎魔球の生みの親は最後にマー君にジョークで一言
「あ、そうそう、彼にあったら絶対に伝えてくれ。『給料の10分の1でいい。僕の口座に振り込んでおくように』ってね。