■メジャーリーグといえば豪快なホームラン!
1998年にはマーク・マグワイアと熾烈なMLBシーズン最多本塁打記録争いを繰り広げ、スーパースターになるとともに母国ドミニカ共和国の国民的英雄になった。
60本塁打以上を、MLB史上最多の3度記録している。
マーク・マグワイア
1998年にサミー・ソーサとシーズン最多本塁打記録争いを繰り広げて当時の新記録となる1シーズン70本塁打を放ち、通算583本塁打は引退当時歴代5位の実績
バリー・ボンズ
2001年に樹立したシングルシーズン記録の73本塁打、長打率.863
また通算記録となる762本塁打、2558四球、688敬遠四球、史上唯一の500本塁打500盗塁など、そのキャリアを通じて数々のMLB記録を残し、史上最も偉大な野球選手の一人とされる
■しかし今シーズンはホームラン数が激減しているらしい
クリス・デービス(オリオールズ)
昨年は56本塁打、138打点を放った二冠王は、今年になって26本塁打、72打点と大きく成績が降下。他にもバチスタ(ブルージェイズ)やカブレラ(タイガース)なども去年の本塁打数を大きく下回っている。
アメリカン・リーグ、ナショナル・リーグ共に本塁打タイトル争いのレベルが低下。
アリーグの本塁打タイトル争いトップに立つオリオールズのクルーズが9月15日現在、39本で、40本にかろうじて王手をかけている
ナリーグにいたっては、トップのスタントン(マリーンズ)は37本で、3位のデューダ(メッツ)はわずか27本だ。
このまま誰も40発を打たずして、シーズンが終わるようなことになれば、1982年以来32年ぶりのことになるし、タイトルホルダーが40台前半で終わっても92年以来の出来事となる
○原因はメジャーリーグに長年付きまとうある問題が関係していた
本塁打争いの常連が、軒並み低調で全体の本塁打量産ペースが落ちている。
レッドソックスのファレル監督は言う。「大リーグ機構が近年、薬物違反のポリシーを強化し、球界全体で薬物使用の撲滅に取り組んでいることとの因果関係の考察は、論議に値することだろう」
本塁打の量産ペースは、メジャーで「1994年から始まったいわゆるステロイド時代」と「大リーグ機構が新しい薬物検査ポリシーを導入した2006年」を境に、伸びと衰退が見事に同調していると言わざるをえない
1試合ごとの平均本塁打は2000年に1.17本のピークを記録したが、徐々に降下して今季は9月14日の時点で0.87本である。
つまり、ドーピングの規制の強化→ドーピング使用率減少→ホームランの減少に繋がっていた
○ドーピングの効果ってそんなにすごいの?
ドーピングでもっとも一般的なのが、アナボリックステロイドなどの男性ホルモン系薬剤の使用。
トレーニングと組み合わせれば、男子選手で38%、女子ならさらに極端な筋力増強が可能とされる。
成長ホルモン剤にはスプリント力を4%向上させる効果が確認
■メジャーリーグと薬物取り締まりの歴史
2003年、米国の栄養補助食品会社のバルコが多くのスポーツ選手に禁止薬物を提供していた事実が発覚し
同社の顧客リストにサンフランシスコ・ジャイアンツで通算762本塁打の世界記録をマークしたバリー・ボンズ氏ら複数の大物メジャーリーガーの名前が含まれていたことで米国では社会問題にまで発展
※「バルコ・スキャンダル」といわれています。
同年2003年にようやく薬物検査を試験的に導入し、2004年から罰則を適用するようになった
MLBでは2006年に薬物使用の罰則を強化し、現在は「1回目の違反で50試合、2回目で100試合の出場停止、3回目で永久追放」という「3ストライクルール」が徹底されている。
さらに薬物の検査方法も厳格化され、今季からはレギュラーシーズン中でも尿検査だけでなく、HGHを摘発するために抜き打ちの血液検査が実施されるようになった。
■高投低打の時代へ
本塁打の減少に伴ってチーム得点数も減少している。
1試合毎の得点は2000年では5.14だったのが、今年は14日時点で4.09とこちらも1981年以来のロースコアぶりだ
対照的に投手の防御率は1990年以降では、2000年にピークの4.77だったのが、今年は3・75と1992年に並んでおり、顕著な高投低打現象がみてとれる
■”本物の実力”メジャーのスター選手の真価が問われる
アレックス・ロドリゲス
2013年8月5日、メジャーリーグ機構は禁止薬物を使用していたとして、Aロッドに2013年8月8日から2014年シーズン末までの全ての試合(211試合)の出場停止処分とする事を発表
来シーズンには211試合の出場停止処分を受けたヤンキースのアレックス・ロドリゲス内野手も処分が解けて戦列に戻る。
クリーンになったAロッドが果たしてどれほど活躍できるのか、チームメイトやファンにどう受け入れられるのか。