○FATAL ILLUSION
2016年1月にニューアルバム『DYSTOPIA』をリリース
新メンバーとして、ブラジルのヘヴィメタルバンド、ANGRAのギタリストであるキコ・ルーレイロが加入したことには驚きました。
キコの在籍するANGRAは、メロディックスピードメタルにクラシックやラテンミュージック、ジャズなどの要素を取り込んだ音楽性が特徴的。テクニカルで機械的な質感のヘヴィメタル(スラッシュメタル)であるMEGADETHとは随分と色合いの違うバンドであり、MEGADETHの音楽にANGRAの色が加わると、一体どういう楽曲ができあがるんだろう、という期待感を持たせてくれる人選です。
そして、ドラムにはLAMB OF GODのクリス・アドラーを迎えた
『DYSTOPIA』に収録される予定の新曲"Fatal Illusion"が早くも公開されました。
そして、LOUD PARK 15への参加のためにバンドが来日するタイミングで、日本限定のシングルCDとしての発売も決定。
過去の名曲"Symphony of Destruction"と"Peace Sells"のライブ音源をカップリングとして収録した全3曲入りのシングル作品としてリリースされました。
繰り返しますが、これは日本限定盤! デイヴ・ムステインから、ぼくたち日本のファンだけのために送られたサプライズ・プレゼントなのです!!(*≧∀≦*)
出典:キノコパワー:MEGADETH - FATAL ILLUSION 【感想・レビュー】
実際には、"Fatal Illusion"の音源はiTunesを使って世界中の人々が購入できるみたいですね
表題曲の"Fatal Illusion"ですが、なかなか「MEGADETHらしい」仕上がりの楽曲になっています。
冒頭、地鳴りのようにズルズルとヘヴィなサウンドから、デイヴ・エレフソンのベースソロを挟んで、ハードな本編に突入します。
前半、楽曲は比較的抑え目のテンポで進みます。
そして中間ポイントに差し掛かると、リズム隊がブレイク。ギターのみが細かく刻まれ、その背後でビープ音が鳴り響きます。そのビープ音が「ピィーッ!」と停止するのを合図がわりに、疾走する後半パートへと突入します。この部分は熱い!
後半に一気にテンポを上げて疾走するというこのパターンは、2ndアルバム『PEACE SELLS... BUT WHO'S BUYING?』に収録されている"Good Mourning / Black Friday"や"Bad Omen"といった楽曲を想起させます。
出典:キノコパワー:MEGADETH - FATAL ILLUSION 【感想・レビュー】
サウンドに関しては『UNITED ABOMINATIONS』や『SUPER COLLIDER』といった近年の作品にみられる、ハードかつ派手な音作りです。
そのため、MEGADETHの古い楽曲が現代のサウンドで蘇った、というような印象を受けますね。
イントロダクションは非常にヘヴィなギターリフ
何拍子か数えるのがむずかしい複雑なリズムパターン。それでいて心地よく乗ることのできるグルーヴがある。これはクリス・アドラーならではのプレイだろう。ギターリフの上ではリードギターが不協和音で空間を作っている。これはキコ・ルーレイロのプレイだろうか。デイヴ・ムステインが弾いているにしても新しい要素を持ち込んだことは間違いない。
イントロが終わるとデイヴィッド・エレフソンのベースソロからメガデスらしく動き回るリフに突入する。間奏に切り込むテクニカルなツインギターのハーモニーもライブで再現するのだろうか。テンポチェンジして展開する後半はいつものパターンだが、その切れ味に思わず頬が緩む。エンディングではいかにもキコ・ルーレイロらしい音使いのギターソロを聴くこともできる。フルアルバムが待ちきれなくなるキラーチューンだ。
出典:新たなキラーチューン、メガデスのニューシングル「FATAL ILLUSION」
ベーシストとしてはオリジナルメンバーのデイヴィッド・エレフソンが2010年の復帰から参加を継続している。
Megadeth - Fatal Illusion (Audio)
出典元:YouTube
○The Threat Is Real
The Threat Is Real”のOfficial Videoが公開されました。
PVはアニメーションで作られ、近未来的で機械等に監視され、荒廃した世界観に、マスコットキャラである”ヴィック・ラトルヘッド”や”MEGADETH”の各メンバーが登場します。
グロ描写があるので苦手な方は注意です。
先に発売されたシングル曲”Fatal illusion”(フェイタル・イリュージョン)と比べると、リズムは変化的でなくストレートで、テンポチェンジもなく終始アップテンポの分かりやすい曲に感じます。46秒からのギターフレーズや、ブリッジにソロでもハーモニックマイナー系スケール(HMP5B等)でのエキゾチックな雰囲気を出したフレーズが使われているのが印象的です。
出典:メガデス – The Threat Is Real 新作PV公開 | ヘビーメタル.com
アルバム”DYSTOPIA”は3年ぶりの新作であり、MEGADETHのイメージからは遠いと感じるANGRAのギタリスト“キコ・ルーレイロ“加入後初作品なので、個人的には全体の出来も気になるところです。
蓋を開けて見たら、この新生メガデスの恐ろしい程の若返りぶりと、充実したメロディの多さに驚かされました。
クリスの手数、足数の多いドラミングによりグルーヴ・メタル的な重さとバネを演出し、キコは確実にメガデスのドラマ性に新たな側面を注入しています。
出典:MEGADETH/DYSTOPIA メガデス ディストピア 2016年作 国内盤 SHM-CD | AMERICAN,スラッシュ | Ken’s Attic ケンズ・アティック
デイヴらしいギターとメロディはもちろん健在
デイヴらしいギターとメロディはもちろん健在、アルバム・タイトル曲で見られる「破滅へのカウントダウン」や「ユースアネイジア」への回帰と思えるメロディ、「THE THREAT IS REAL」や「LYING IN STATE」で見られる初期スラッシュ時代のノリは、オールド・ファンを再び狂喜させると思われます。
出典:MEGADETH/DYSTOPIA メガデス ディストピア 2016年作 国内盤 SHM-CD | AMERICAN,スラッシュ | Ken’s Attic ケンズ・アティック
デイヴの声は確かに以前と変わっていますが、ドスの利いたヴォーカルをより効果的に聴かせる事を自身はもちろん、ジャズやクラシックの素養のあるギタリスト、キコが良く理解していると思われ、メロディ、アレンジの構成が見事だと思われます。
Megadeth - The Threat Is Real (Official Video)
出典元:YouTube
○Dystopia
初期っぽさ強めの冒頭三曲が強力
どことなくエキゾチックなギターソロが印象的な#1″The Threat is Real”、イントロのメロディックなリード・ギターにグッとくる#2″Dystopia”、「インテレクチュアル・スラッシュここにあり」な#3″Fatal Illusion”という冒頭三曲は特に初期っぽさが強く、オールド・ファンは序盤の流れにニヤリとさせられること必至(個人的には#2がイチオシ)。
個人的には近作の中で一番の傑作は2009年発表の12th”Endgame”だと思っているのですが、それに次ぐくらいの出来だと思います。
前々作、前作あたりから攻撃性が薄れてきて、この先は丸くなっていく一方なのかと少し心配していましたが、なんのなんの。まだまだ尖っていられることを証明した良作です。この充実ぶりにはキコ&アドラーの存在も大きかったことでしょう。メンバーチェンジの多いメガデスのこと、二人ともいつかバンドを離れる日が来るのでしょうが(笑)、長く続いてくれるといいですね。
初期~中期MEGADETHを彷彿させるダークで刺々しい緊張感が戻っているのが嬉しい限り。
そんな“唯我独尊ムステイン劇場”においてもガップリ四つに組み、自在に弾き倒せるキコは本当に凄い。まるでフュージョン転生した「Hangar 18」みたいな表題曲「Dystopia」や、メロディックなリードが存分に味わえるインスト「Conquer Or Die!」冒頭のアコースティックを含め、“キコがイメージするメガデスのギター・プレイ”が全編でたっぷり味わえるのは、ANGRAファンも嬉しいのでは? 昨年の“LOUD PARK 15”に伴う来日では新曲をやらなかったので、今から次回の日本公演が待ち遠しい…!
出典:DYSTOPIA/MEGADETH – ヤング・ギター YOUNG GUITAR
「Dystopia」は掛け値なしの名曲だと思う。
Megadeth - Dystopia
出典元:YouTube