◎鉄道混雑率、ワースト2は上野→御徒町間
国土交通省都市鉄道政策課の発表資料によると、平成23年度のワーストワンは、総武線の錦糸町→両国間(7:34~8:34)で201%。京浜東北線の上野→御徒町間(8:00~9:00)では200%。
◎理由は「上野駅」での乗り換え客が多いため
上野-御徒町間の混雑の要因について、同省鉄道局では「上野駅で宇都宮線、高崎線、常磐線などからの乗り換え客が多いために、上野-御徒町間での混雑率が上昇してしまう」と分析。
◎混雑率200%前後
JR山手線外回りの上野-御徒町間は「体が触れ合い相当圧迫感のある」とされる200%前後の水準が続いている。
◎混雑率とは?
180%:折りたたむなど無理をすれば新聞は読める。
200%:体が触れ合い相当圧迫感があるが、週刊誌程度なら何とか読める。
250%:電車が揺れるたびに体が斜めになって身動きがとれず、手も動かせない。
300%:ただ乗っているだけという物理的限界。
出典:サービス終了のお知らせ
◎1960〜70年代は通勤地獄
かつては乗車率300%超の列車もあったとされ、駅に到着しても乗客に圧迫されてドアが開かない、窓ガラスが割れる、という事例も。「通勤地獄」という言葉も生まれたほどだという。これをきっかけに、国土交通省も鉄道各社局も、乗車率を下げる施策を実施している。
◎上野駅混雑緩和のため、東北本線の特急、東京発着便も
東北本線・常磐線・高崎線の通勤列車が上野から新橋駅まで朝晩の各1往復程度乗り入れていた。後年に急行「十和田」が東京駅へ乗り入れ、特急「ひたち」「つばさ」「ひばり」「はつかり」「とき」「あさま」、準急「日光」「中禅寺」といった列車に東京駅を発着する列車が設定されていた。
◎東北新幹線の工事により東北本線が上野駅で分断
東北新幹線の工事が行われる以前は、東京駅や品川駅からも東北方面の長距離列車が発着した時代がある。それが中断された理由は、東北新幹線の工事で用地が削られてしまったからだ。
出典:どうなる、こうなる首都圏の鉄道網――(4)東京駅周辺編:近距離交通特集(3/4 ページ) - ITmedia ビジネスオンライン
東北新幹線
◎1990年度の混雑率は、上野~御徒町間で274%、混雑率ワースト1
1990年度の混雑率は、上野~御徒町間で274%まで上昇した。
◎混雑率は緩やかに減少、204%まで下がる
山手線の混雑率は緩やかに減少していく。1996年に埼京線が新宿~恵比寿間を延伸し、2002年には大崎へ。実質的な複々線化が完成して、乗客の流れが変わった。2001年には湘南新宿ラインの運行も始まり、2008年には地下鉄副都心線も開業して、私鉄からの乗り換え客が地下鉄に流れた。山手線の混雑率も、上野~御徒町間で204%まで下がった。
〈1996年〉埼京線が新宿~恵比寿間を延伸
〈2002年〉埼京線は大崎へ
〈2001年〉湘南新宿ライン
〈2008年〉地下鉄副都心線開業
◎しかし、近年再び増加の傾向が…
最近では丸の内・汐留・品川周辺の開発が進み、2005年には秋葉原駅につくばエクスプレスが接続、2008年には日暮里・舎人ライナーが開業し日暮里駅に接続し、この区間の通勤者が急増してからは一層混雑が激化した。
〈2005年〉つくばエクスプレス
〈2008年〉日暮里・舎人ライナー
◎新型車両の導入などの効果で、2009年度から混雑率がワースト2へ
E233系
E231系
◎埼玉県などが混雑緩和に新線建設を強く要望
運輸政策審議会答申第18号において「2015年までに開業することが適当である路線」に指定された
◎JR東日本は2008年5月より工事に着手
現在でも上野駅から秋葉原駅までは複線が通っており、JR常磐線の留置線(一時的に電車を留置するための線路)として使われている。東京駅の北側にも複線が延びており、やはりJR東海道線の折り返しに使われている。用地が足りない部分は神田付近で、この部分の新幹線の上に線路を造るのだ。
出典:どうなる、こうなる首都圏の鉄道網――(4)東京駅周辺編:近距離交通特集(3/4 ページ) - ITmedia ビジネスオンライン
◎2014年度末に開業。愛称を「上野東京ライン」
JR東日本は9日、工事中の東京と上野を結ぶ3.8キロの新線「東北縦貫線」を2014年度末に開業すると発表した。JR東日本は、この新しいルートの愛称を「上野東京ライン」に決定。
◎混雑緩和以外にも様々な効果を期待
JR常磐線の特急「ひたち」や中距離列車が東京駅や品川駅に乗り入れると、東海道新幹線や京急経由での羽田空港へのアクセスも便利になる。
出典:どうなる、こうなる首都圏の鉄道網――(4)東京駅周辺編:近距離交通特集(3/4 ページ) - ITmedia ビジネスオンライン
常磐線の特急「ひたち」
◎乗車率200%以上のつらさから開放される日も近い
国土交通省は2015年までに、三大都市圏の平均混雑率を150%とするのを目標としている。大阪圏と名古屋圏では達成済みだが、東京圏については、「主要区間の平均混雑率を全体として150%以内とするとともに、すべての区間の混雑率を180%以内とする」としている。