▼新幹線は1964年(昭和39年)10月1日に開業 以後、日本の大動脈となる
▼昭和50年3月10日 山陽新幹線が博多駅まで全線開業
▼そんな新幹線が博多開業を果たした昭和50年に新幹線をターゲットとした映画が2本作られた
『動脈列島』が新幹線による騒音公害と絡めた社会派路線なのに対して、本作は娯楽作品としての面白さを追求した路線を取っていると同時に、乗客や運行に携わる関係者の真剣な対応と、警察や政府の打算的な解決策、そして犯人らの個人的な思いが交錯して描かれている点が対照的である。
▼新幹線大爆破 昭和50年 東映
『新幹線大爆破』(しんかんせんだいばくは、The Bullet Train, Super Express 109 )は、1975年の日本映画。
オールスターキャストによるパニック映画で、日本よりも海外での評価が高い作品である。上映時間152分。
▼主要キャスト
高倉健:沖田哲男
宇津井健:倉持運転指令室長
千葉真一:青木運転士(ひかり109号)
▼ストーリー
東京発博多行きひかり109号は9:48分、定刻通りに発車した
運転士は千葉真一が演じる青木 となりの森本運転士役は若き日の小林稔侍
スピードは当時の最高速の210キロへ
ひかり109号が東京駅を出発後、国鉄に「本日東京駅を出発した”ひかり109号”に爆弾を仕掛けた」と、脅迫電話がかかってくる。 時速80キロ以下になると爆発するという。
同様の爆弾は北海道の貨物5790列車にも仕掛けられたという。乗員二人が急いで飛び降りると・・・・
直後に爆発してしまう
車内点検と称して、乗員は爆弾捜索を始める。
倉持は青木に貨物5790は爆発したと伝える。
先行のひかり138号が豊橋駅手前で故障、上り線に転線したいが、ひかり20号が迫る
倉持は青木に上り線への転線を指示するが、その無茶な指示に青木は怒りが収まらない
倉持に諭された青木は冷静さを取り戻し通常ではありえない操作をこなした
上りのひかり20号が浜松駅を通過直後にひかり109号は上り線への転線を試みる
ひかり20号がひかり109号に迫る
すれ違うひかり20号とひかり109号
ひかり109号は上り線への転線に成功する
前代未聞の事件。国鉄と警視庁はこの緊急事態を発表。
止まれないひかり109号はついに名古屋を通過してしまう
なぜ止まらないのか?乗客の中には不信感が芽生えた。止まれない新幹線に乗客たちは遂にパニックに・・・・
外ではカメラマンが並び、どこに爆弾が仕掛けられたかハイスピードカメラで撮影が始まった。しかし撮影には失敗してしまう。
犯人との交渉に何とかこぎつけ、設計などの書類が置いてあるという喫茶店に警察が向かうが、なんと店は炎上。書類もまた灰になってしまった。
身代金を手に入れた犯人の沖田が海外逃亡の準備をしていると、テレビが目に入る。なんと爆弾はまだ取り外されていなかった!
沖田の脳裏に浮かんだのは当然ひかり109号の爆発炎上
撮影隊が再びハイスピード撮影で探し始める。するとそれらしきものが発見!
ドアを開けて手を伸ばして取り外しを試みるが・・・・・
取り外しに失敗してしまう
ひかり109号の横にバーナーを積んだ救援車を走らせる
救援車からひかり109号へバーナーの受け渡しがされるが風が邪魔してうまくいかない
障害物が近づいてくる
ギリギリのタイミングでバーナーの受け渡しに成功する
運転士の青木がバーナーを使ってゴミ箱の横を焼き切り配線の切断を試みる。その間、ひかり109号の運転は森本運転士が担当。
配線の切断に成功
ついにひかり109号に停止命令が出る
ひかり109号は無事に停車を果たす
安堵の表情を見せる運転士たち
一方の沖田は空港で葛藤しながら飛行機に乗ろうとしていた。
最後に国鉄に爆弾の外し方を知らせたが、対策本部ではなく東京第一運転所に伝えた
沖田は搭乗ゲートで元妻と息子と顔を合わせる。警官たちは二人の様子から沖田に気づく。搭乗を諦めたが、その直後から警察に追われる。
そして、警察に追い詰められた沖田
空を見上げれば、乗るはずだった飛行機が飛んでいた。
逃げ場を失った沖田は、また逃げようとするが警官によって射殺されたのだった。
▼『新幹線危機一髪』というタイトルなら国鉄の協力が得られたが東映はあくまで『新幹線大爆破』というタイトルに拘った
国鉄に実物の新幹線の撮影協力を交渉したところ、安全を謳い文句にしていた国鉄サイドは刺激的な映画のタイトルに難色を示し、「『新幹線大爆破』という映画のタイトルでは新幹線のイメージが悪くなるので、『新幹線危機一髪』というタイトルへ変えるなら撮影に協力しても良い」とタイトルの変更を要求する。
しかし岡田がOKを出さず、「何としても"新幹線大爆破"でいけ」と号令を出すまでに至った結果、交渉が決裂。
最終的に国鉄からの撮影協力は得ることができず、ロケーション撮影が不可能となったため、岡田による「隠し撮りとミニチュア撮影の合成で行け」との命で、急ピッチで撮影に入るが、2か月ほど遅れ、完成が封切の2日前までずれ込んだために試写会の開催もなく、タイトルを理由として新聞への広告も拒否されたことで、宣伝が十分に行き届くことがなかった。
▼国鉄の協力が得られなかったので、車両の室内などはすべてセットだった
本物同然の新幹線の車内はセット
新幹線総合指令所もセット
映画の内容と題名で国鉄(現:JR)から撮影協力は得られなかったので、新幹線総合指令所や新幹線車内、新幹線走行外景(ミニュチュア)などは東映大泉撮影所で撮影されている。
実物大の新幹線客車セットは、材料の質感が本物そっくりに出ないと作品が全部絵空事になるという判断から、ベニヤ板でセットを組まず、当時実際に国鉄へ納入していた日立製作所や東芝などから実物の椅子や壁面、網棚などを発注して原寸大の車内を再現した。
これに手間と時間がかかり、撮影が遅れる一因になった。後日、各会社は国鉄から怒られたという。
▼新幹線の模型は1台1メートルほどの長さ 製作は郡司製作所が担当
本編で絡むシーンは一切無かったが、高倉と宇津井が新幹線の模型を持ったスチール写真が存在する
新幹線のミニチュアは1台1メートル余りあり、12両編成で12メートル。これを2セットで計24両製作。この2台で2000万円かかった。
新幹線などのミニチュアの実製作は、長らく映画・テレビの特撮作品で金属模型を手掛けた郡司製作所が担当した。
▼意外な人物がチョイ役で出演
丹波哲郎
志穂美悦子
北大路欣也
多岐川裕美と黒部進
岩城滉一
新幹線大爆破(予告編)
出典元:YouTube
新幹線大爆破(プレビュー)
出典元:YouTube
▼爆破された蒸気機関車は現存する?
同列車の走行シーンは私鉄の北海道炭礦汽船真谷地炭鉱専用鉄道で、国鉄ではないために撮影が可能だった。
爆破シーンは、北海道炭礦汽船夕張鉄道線の一部を引き継いだ専用線で撮影された。
5790列車は当時夕張線に実在し、実際に蒸気機関車が牽引していた。
ちなみに、この爆破ロケで使用されたSLは栗山町の公園に保存されているそうです。
爆破されたキューロクは夕張郡栗山町で保存されている=夕張鉄道21
栗山では夕鉄自社発注の21号(9600形の最終製造機)を見学。石炭輸送に活躍した同機ですが、映画「新幹線大爆破」(東映1975年)の中で、夕張線貨物5790列車として登場、爆破された(?)変わった経歴も有しています。
出典:http://rail.hobidas.com/blog/natori/archives/2011/08/post_176.html
栗山公園で保存されている夕張鉄道21号機
▼貨物5790列車の爆破シーン
バンド付きタブレットホルダー
出典元:YouTube
▼動脈列島 昭和50年 東宝
『動脈列島』(どうみゃくれっとう)は、清水一行の小説、またそれを原作として東京映画が製作、東宝が配給し、1975年(昭和50年)9月6日に封切り公開された日本の社会派サスペンス映画。カラー、121分。
新幹線を題材にした東宝作品で、共に大映出身の増村保造監督・田宮二郎主演。
▼主要キャスト
滝川保:田宮二郎
秋山宏:近藤正臣
▼ストーリー
名古屋市熱田区。東海道新幹線が住宅密集地にもかかわらず時速200キロ近い高速で走り抜けていく。
そのすさまじい騒音ゆえに付近に住む老婆は、新幹線の音をB-29の音と間違えておびえだすほどに精神に異常をきたし、医師である秋山宏(近藤正臣)と、その恋人である看護師・君原知子(関根恵子)の懸命の介抱も空しく息絶えてしまった。
老婆を死に至らしめた国鉄に怒りを覚えた秋山は復讐を誓った。
秋山は恋人君原に、わけも話さずに病院からニトログリセリンを少し盗み出すように依頼し、それを持って君原にはヨーロッパに旅行すると伝えて行方をくらませた。
次の日、新幹線ひかりの車内のトイレがつまり、原因を探るとニトログリセリンと脅迫状が入れられた袋が出てきた。
脅迫状の趣旨は国鉄に対する騒音対策の実施要求と、要求を受け入れなければ10日以内に新幹線を転覆させるというものだった。
翌日には豊橋駅でこだま号が脱線させられた。一歩間違えば脱線したこだま号に後ろから来たひかり号が追突するほどの危険な状況であり、秋山はあえてそのタイミングをねらったのだった。
警察庁は犯罪科学捜査研究所所長の滝川保(田宮二郎)を捜査本部長に任命し、数人の新幹線の沿線の愛知県警や警視庁の幹部刑事と共に極秘捜査を開始する。
滝川は脅迫状の内容が名古屋新幹線騒音公害訴訟団の要求と同じであったことから、訴訟団が主張の根拠としていた論文を書いた秋山に注目する。
しかし当の秋山はヨーロッパ長期旅行中であった。
だが秋山の指紋と脅迫状にあった指紋が一致したことから捜査陣は(出国の偽装工作をしたとみて)秋山を犯人とほぼ断定し、極秘ながらも捜索を開始する。
そのころ東京に潜入していた秋山は秋葉原の電気街にいた。音波発信機を製作した彼は国鉄に「もう一度新幹線をストップさせてみせる」とマスコミも含め予告した。
国鉄・警察にはこの事を知った大手マスコミが駆けつけ、極秘にしていたことを非難し、公開捜査を要求した。そこで滝川は次のストップ予告を阻止できなければ公開すると約束した。
秋山は警察の捜査の裏をかき新宿から小田急で東京を後にする
警察の検問をかいくぐった秋山は新幹線と並行する東名高速道路をレンタカーで列車と並走し、スピード0(停車)の信号電波を発信、またも新幹線を止めてしまう。
この手口を予想できなかった滝川ら捜査陣をマスコミは責め、滝川らは公開捜査についに踏み切り、同時に(証拠が固まった)秋山宏を全国指名手配にした。
一方、潜伏中の秋山は医学界に失望した元看護師・芙美子のアパートにかくまわれたが、大胆にも国鉄総裁宅に深夜出向き、直接要求をした上、その会話を録音したテープをテレビ局にリークした。
秋山は予告当日に備え、坂野坂トンネル付近にブルドーザーを停車させた。
一方捜査陣も、犯行は秋山の実家から近い静岡・愛知県内で行われる可能性が高いとして県内の新幹線線路に等間隔に警官を配置し厳重に警戒させた。
犯行当日、当初はこの日の勤務を拒否していた国労・動労を説得した上で新幹線は平常どおり運転した。
秋山は献血輸送車を盗んで検問を突破、坂野坂トンネルに向かい準備した。
一方滝川らもヘリコプターからブルドーザーを発見し、取り囲んだ。
これで犯行は不可能に思われていたが突然無人のブルドーザーが動き出した。リモコン操作されていたのだ。
しかし、勇敢な一人の若い刑事がブルドーザーに飛び乗りキーをはずしてストップさせ、秋山は手も足も出せなくなった。
既に早期に身柄を確保されていた恋人の君原知子に説得され、付近のみかん畑から降伏した秋山が姿を現した。
互いに抱き合う秋山と知子。その後ろを何事もなかったように新幹線は走り続けていくのだった…。
Mainline To Terror (Domyaku Retto / 動脈列島) 1975 Trailer
出典元:YouTube