■錦織の大躍進は「日本の誇り」と手放しに喜べない現状
テニスの四大大会、全米オープンで錦織圭(24)がアジア男子初の準優勝という快挙を成し遂げた。
テレビとスポーツ紙を中心にメディアは、錦織の快挙にヒートアップ。
松岡修造氏などは、「圭は日本人。日本人の誇り。テニスを通して日本人の誇りを(世界に)示している」と言っていたが、彼がアスリートとして育ってきた環境を冷静に見れば、手放しで「日本の誇り」とは言いにくい面がある。
○若くして海外へ渡る選手たち
日本テニス協会の盛田正明名誉会長。同氏が私財を投じて設立した通称「盛田ファンド」の奨学金をもらって、錦織は13歳で日本を飛び出し、シャラポワ(ロシア)らが育ったフロリダ州のアカデミーで英才教育を受けてきた。
他にも
宮里美香
錦織と同じフロリダの『IMGゴルフアカデミー』に通っていたこともあり、短い間交際していたそうです。
ゴルファーの一人が沖縄出身の宮里美香(24)。日本女子アマを14歳で優勝した宮里は高校卒業後すぐに渡米、日本のプロテストを経ることなく米国でプロ転向した。
三浦知良
47歳でなおも現役のレジェンド
1982年に高校を中退し、15歳でブラジルに渡った三浦知良
そのサクセスストーリーに魅せられた多くの若者がブラジルや欧州へ渡り、サッカー留学をあっせんする業者も増えた。現在は年間1000人以上の日本人が留学しているともいわれる。
宮市亮
現在はオランダのトゥエンテへ期限付き移籍
愛知・中京大中京高3年時にイングランド1部リーグのアーセナルに5年契約で加入したFW宮市亮(21)はJリーグを経ずに渡欧したことで注目された。
■父親清志さん「日本の部活動では個性を伸ばしてくれると思わなかった」
少年時代の錦織選手
「日本の中学、高校の部活動では、個性を大事にして育てたり、伸ばしてくれるとは思わなかった」とも語っている。
ニューヨーク・タイムズ紙は、13歳で渡米した錦織の「日本人離れした特質」が快挙につながったと報じている
○「出る杭は打たれる」固定観念から抜け出せない頭のお堅い大人たち
日本の指導者は、選手の個性を見ずに自分の型にはめようとする。
プロ野球の日本ハムに所属する二刀流の大谷選手がいい例です。プロ入り前は、皆が二刀流なんて無理だと口を揃えていた。
これはスポーツの世界に限ったことではありませんが、過去に例がないこと、自分が知らないこと、経験したことがないことは、あれはダメこれもダメと、最初から否定してしまう。
だから、その人の指導枠から飛び出る凄い選手は、日本からはなかなか出てこないのです
10勝&10HRも達成。当初の2刀流批判論者も今ではぐぅの音も出ないことでしょう。
当初は大谷の二刀流について「プロをなめている」と言っていた評論家諸氏も、今年の活躍を見れば脱帽せざるを得ない。
○厳しすぎる上下関係…殺される個性
学校の部活動には、指導者の暴力だけでなく、上級生の陰湿なイジメや厳しい上下関係も存在するなど、子どもがスポーツに後ろ向きになる話題が目立つ。
先月には、高校野球の強豪・済美高(愛媛)野球部の1年生が2年生からカメムシを食べさせられたり、灯油を飲まされそうになったことが判明
上級生が、自分が受けた仕打ちを下級生に行なうという、強豪校の部活にはよくあるパターンです。それに監督は、“上下関係がなければ組織は成り立たない”というのが口癖でした。
日本の青少年スポーツが協調性を過度に重んじる体質を引きずる
■世界で戦うための”個性”を養うために育成環境の改善は必要
清志さんは、「日本人選手が世界で活躍できないのは個性が弱いため」と言う。
米国の広大な練習環境や強力なライバルとの切磋琢磨もさることながら、指導者の違いが大きい
だが、指導者が変わらなければ、日本テニス界の強化、底上げにはならない。清志さんの言葉は重い。